徳川家康の名言集
徳川家康は、征夷大将軍になって江戸幕府を開いた戦国武将です。子ども時代を人質として過ごし、大名になってからも家臣団に直面した苦労人です。信長、秀吉の時代を耐え抜いて、最後の勝者になりました。忍耐や自分を律する名言を数多く残しています。

人の一生は、重荷を負うて遠き道をゆくがごとし
焦らずにコツコツと努力を積み重ね、地味だけどいつも成果を出している人。不当な扱いを受けることがあっても、怒らず自分を保ち続けている人。どうしてそんなにマイペースでいられるのか、聞いてみたいと思いませんか?
大望を抱いてずっと先を見据えている、徳川家康はそんな人物です。
人質からはじまった家康の人生は、我慢と理不尽の連続でした。織田政権では不平等な同盟にも我慢、豊臣政権では独裁的な主君にも我慢、我慢、我慢。来るべきチャンスを待ち続けた晩成の英傑の言葉は、ストレス社会を生きる私たちの背中を、優しく押してくれます。
「人の一生は」からはじまる、家康の有名な言葉は『東照公御遺訓』に記されています。少し長いので、分割して紹介します。

人の一生は、重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず。
”人生は長くてつらい、急がず行こう” という意味です。

不自由を、常と思えば、不足なし。
”不自由が当たり前と思えば不満もない” という意味です。

心に望み起こらば、困窮したるときを思い出すべし。
”欲が出てきたら苦しかったころを思い出そう” という意味です。

堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
”無事でいる秘訣は我慢すること、怒ってはダメ” という意味です。

勝つことばかり知りて、負くること知らざれば、害その身に至る。
”勝つことに慣れて負けを知らないのは危険” という意味です。

己を責めて、人を責むるな。
”自分の行動を反省して他人を責めない” という意味です。

及ばざるは過ぎたるより勝れり。
”やり過ぎちゃうより足りないぐらいが良い” という意味です。
と、このような言葉の数々が、家康の遺訓として、一枚の書状に書かれています。控えめ、というか、自制するようにブレーキをかける教えを、徳川家に残しました。これには、ふたたび乱世に戻らぬよう、天下泰平を願う家康の思いが込められています。
サクッと読める短い名言

願いが正しければ、時至れば必ず成就する。
”ちゃんと取り組んでいれば願いは叶う” という意味です。
大事なのは、正しい願いであること。これは、願いを叶えるために必要な鍛錬や、学習を継続して行うということです。正しく努力を続ければ、きっと叶います。

得意絶頂のときこそ隙ができることを知れ。
”調子が良いときこそ気をつけなさい” という意味です。
成功が続くと慢心が生まれます。有頂天になると、周囲に気を配ることを怠ってしまい、信頼を失うこともあります。驕らず、慢心せず。

戦いでは強い者が勝つ。辛抱の強い者が。
”我慢づよいやつが戦いに勝つ” という意味です。
自身のことを指しているかのような言葉ですが、家康も武田信玄との戦いでこのことを学んだようです。冷静になることは大事です。

世におそろしいのは、勇者ではなく、臆病者だ。
”勇ましい人より臆病な人のほうが怖い” という意味です。
臆病者は用心深いため、計画や準備を周到にします。当然、深い考えも持っていますので、弱肉強食の世の中では、このような人物に注意が必要だったのでしょう。
グッとくる深い名言

人生に大切なことは、五文字で言えば ”上を見るな” 。七文字で言えば ”身のほどを知れ” 。
”現状に感謝して励みなさい” という意味です。
生活の環境には個人差がありますが、感謝して日々を過ごしましょう。現状に不満足でも、一発逆転を狙うのではなく、少しずつ積み重ることが大事なのです。

決断は、実のところそんなに難しいことではない。難しいのはその前の熟慮である。
”決定するのは簡単、その前によく考えることが大事” という意味です。
えいっと決めてしまうことは簡単です。しかし、重要なことほど深く考える必要があります。当然、準備や段取りも大事になります。

重荷が人をつくるのじゃぞ。身軽足軽では人は出来ぬ。
”責任を負うことで人間は成長する” という意味です。
昇進、結婚、子どもなど、年齢を重ねるごとに責任が増えます。これらの責任は、人間を豊かにします。なにも背負わなければ、深みのある人間にはなれません。
ビジネスに使える名言

愚かなことを言う者があっても、最後まで聴いてやらねばならない。でなければ、聴くに値することを言う者までもが、発言をしなくなる。
”とりあえず意見は聞きましょう” という意味です。
しょうもない意見は、聞くだけ時間の無駄と思ってしまいます。しかし、これを遮ってしまうと、価値がある意見をしようとする人も発言しづらくなります。上司と部下のやりとりや親子の会話でも気をつけたいことです。

最も多くの人間を喜ばせたものが、最も大きく栄える。
”人を喜ばせることが大きな利益を生む” という意味です。
個の利益を追うのではなく、多くの人が喜ぶアイデアやサービスが、大きな利益を生みます。自社や取引先だけではなく、お客様も含めたWinWinが大事です。

家臣を率いる要点は惚れられることよ。これを別の言葉で心服とも言うが、大将は家臣から心服されねばならないのだ。
”部下が憧れるような存在になりなさい” という意味です。
金銭や役職などのリターンは、いつか与えるものが尽きてしまいます。部下が上司のために働く原動力の理想は、上司の魅力です。この人のようになりたい、役に立ちたいという気持ちは、持ち続ける限り尽きません。

大将というものはな、家臣から敬われているようで、たえず落ち度を探されており、恐れられているようで侮られ、親しまれているようで疎んじられ、好かれているようで憎まれているものよ。
”上司に落ち度がないか部下はよく見ていますよ” という意味です。
ドキッとしますね。部下は上司のことをいつも見ています。上司の行い次第で、部下がどのように感じるか意識しましょう。上の立場に行くほど、手本となる振る舞いが大事です。
徳川家康の辞世の句
徳川家康が残した辞世の句があります。お別れを感じさせる切ない句には、家康の遺志が綴られています。

先に行く あとに残るも 同じ事 つれてゆけぬを わかれぞと思う
”先に逝く自分も、ここに残る皆も、同じ諸行無常の世界にいる。いずれ死ぬのだ。かといって、皆といっしょに死にたいとは思わない。ここでお別れしよう。”
自分が亡くなったあとを追う、家臣たちの殉死を禁止する意味が込められています。これを家康の遺志とした家臣たちは、ひとりも殉死しませんでした。
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